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平成25年度 子育てひろば全国連絡協議会 公開セミナー
「子ども・子育て支援新制度」に向けて
地域子育て支援拠点の役割を考える

   今年度の公開セミナーは、全国各地から135名の方々にご参加いただきました。ご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
 今回の公開セミナーのテーマは、「子ども・子育て支援新制度に向けて地域子育て支援拠点の役割を考える」です。地域子育て支援拠点事業は、今年度から機能別に再編され一般型、連携型となりました。さらに利用者支援や地域支援を行う「地域機能強化型」も新たに創設されました。
 また、27年度から施行予定の新制度では、子育て家庭の「身近な場所」において利用者支援を行うコーディネーターの配置が求められています。こうした新たな流れの中、ひろば全協では委員会を立ち上げ、子育て支援コーディネーターの役割と位置づけ」に関する調査研究を実施したことから、今回は、それらの最新情報をお伝えするとともに、地域子育て支援拠点事業のこれからを共有する場としました。

◆日時

平成25年6月16日(日)14:45〜16:45 

◆開催場所

国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟102  
(東京都渋谷区代々木神園町3-1)
◆交通アクセス 国立オリンピック記念青少年総合センター 
・小田急線 参宮橋駅下車 徒歩約7分
・京王バス 新宿駅西口より(16番)
        渋谷駅西口より(14番) 代々木5丁目下車
◆対象 子育てひろばに関わる
実践者・スタッフ・行政担当者・研究者など
◆参加費 無料
◆定員 200名
 
<パネリスト>
黒田 秀郎さん 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局総務課 少子化対策企画室長
橋本真紀さん 関西学院大学 教育学部 幼児・初等教育学科 准教授
奥山 千鶴子 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事長
<コーディネーター>
松田妙子 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事
 まず、黒田室長からは、最初に平成24年度補正予算より地域子育て支援拠点事業が機能別に再編された流れと機能強化についてのお話がありました。
黒田 秀郎さん  厚生労働省 雇用均等・児童家庭局総務課 少子化対策企画室長



平成3年に厚生省(当時)に入省。これまで大臣官房、年金局、老健局、医薬食品局に在籍し、省庁再編、介護保険制度改正などに従事。平成13年から平成16年まで宮城県庁に出向。平成22年7月より現職。
 今年度から「地域子育て支援拠点事業」の実施類型が、一般型、連携型と再編されたことによって、予算の確保の手順等が複雑になったように見えますが、今回の制度の変更はこれまでの実践を予算の確保につなげるチャンスであり、是非平成26年度に向けて大いに活用していただきたいと思います。

 子ども・子育て支援新制度は、平成27年度施行に向け子ども・子育て会議を設置し準備を進めています。新制度の中に「地域子育て支援拠点事業」と「利用者支援」は共に地域子ども・子育て支援事業として実施されることが決まっています。子ども・子育て会議では今年度末までに、「利用者支援」をどういう方が、どういう場所で、どういう手法で行うか、養成をどうするかの中身を決める議論が進められる予定です。

 その議論より先行して動いているのが、「待機児童解消加速化プラン」です。現政権の成長戦略の中で、女性の活躍を推進する上で、待機児童の解消が急務となったため、新制度を先取りして実施することになり、「利用者支援」もメニューに盛り込まれています。新制度に先駆けて、新制度の内容を前提にもう少し早く取り組めるようになったということです。
 「利用者支援」は、待機児童の多い都市部では、保育施設等の利用に向けた紹介など横浜市の「保育コンシェルジュ」のような役割も必要です。また待機児童の少ない地域ではそれ以上に地域の資源づくり、地域おこしなど「地域支援」がより重要となります。「保育施設等の利用に向けた紹介など」と「地域支援」の両方を、地域の実情によってウエイトを変えながら、両輪として行っていく必要があるのです。
 「利用者支援」が、メディアに(地域子育て支援ではなく)待機児童解消施策として大きく取り上げられていることについて「どう受け止めたらいいか」とお感じの方もおられると思います。しかし、取り上げられるということは、「利用者支援」が必要と評価されたということであり、重要性を押し上げる効果があるという一面もあるという事をお伝えしたいと思います。
  これを受けて、橋本先生のお話に入る前に、コーディネーターの松田から、昨年度、ひろば全協が実施した「子育て支援コーディネーターの調査研究」について、説明がありました。
  子育て支援コーディネーターの役割と位置づけ(PDF)
松田妙子  NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事


東京都渋谷区出身。社会福祉学科卒業後、こどもの城で働く。 平成11年三重県で居場所づくりを開始。その後愛知県を経て平成13 年、世田谷で産前産後の母子のケアを中心とした「子育て支援グループamigo」立ち上げ。保育園の2階で常設の居場所と産後の訪問支援開始。成18 年から3 年半、下北沢の商店街でコミュニティカフェぶりっじを運営。H22 年からはUR協働し、団地の一角でキッズスペースぶりっじ@roka を開設、団地内の立ち話を増やす!を目標に活動中。

 この調査研究は、「子ども・子育て新制度」のもととなる「子ども・子育て支援法」の第五十九条において、いわゆる「子ども及びその保護者の身近な場所で子ども又は子どもの保護者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言等を行う事業」つまり、「利用者支援事業」が法定化されたことを踏まえて実施しました。

 国は、この「利用者支援事業」が実施される場所として、子育て家庭の身近な場所である「地域子育て支援拠点」も視野に入れており、今年度予算でも、拠点事業に「地域機能強化型」が創設されるなど先行した動きがあります。ひろば全協では、この「利用者支援を担う人材」を「子育て支援コーディネーター」と位置づけ、その養成と適切な処遇、身分保障が必要であると考え、調査研究に取り組みました。
 そして、子育て支援コーディネーターの「定義」は次のように表現しました。
「子育て家庭が有する課題やその力を包括的に把握、予測した上で、利用者本人の力や地域資源を生かしながら、個別の家庭状況に応じ、支援策を調整、調達する。あわせて、すべての子育て家庭が子どもを授かり、子どもを育てることを開始した時から、社会的に包摂される仕組みを地域の中に作ることを指向し、より包括的、予防的にコーディネートする。」
 さらに、「対象」については、図で示しているように、要支援家庭から利用支援の範囲まで、個々の家庭に必要と思われる支援を適切にコーディネートする幅広い支援をイメージしています。
  
 そこで、今回の研究では、既存の子育て支援関連のコーディネーター、近接領域のコーディネーター、地域子育て支援拠点で先駆的にコーディネーターを担ってきた方のヒアリングを実施した上で、これから橋本先生にご説明いただく「子育て支援コーディネーターの役割と力量」を提示しました。
 さらに、橋本先生の後、奥山が説明する「コーディネーターの育成や位置づけ」についても適切な処遇や身分保障のためには必要不可欠なものであるという認識で明示しています。
  この説明を受けて、橋本先生からは「子育て支援コーディネーターの役割と期待される力量」についての研究の報告をしていただきました。
橋本真紀さん 関西学院大学 教育学部 幼児・初等教育学科 准教授



私立幼稚園、公立保育所(保育士)で勤務の後、子育て支援を学びたいと再び大学へ。子育て支援は実践はあるが、理論がないという当時の指導教官の一言で、実践を志す。市民として地域の子育て支援に携わり、ファミリー・サポート・センター、地域子育て支援センターで勤務。その後、保育士養成校の教員として務めつつ、地域子育て支援者の支援や研究をおこなっている。

 ひろば全協では、利用者支援を担う人材を子育て支援コーディネーターと位置づけて調査研究を行いました。制度として位置づけられても担い手が担うべき機能が明らかでなければ事業の実施が困難であるため、まずは機能の理解を深めていきたいと考えています。
 子育て支援コーディネーターの定義は「子育て家庭が有する課題やその力を包括的に把握、予測した上で、利用者本人の力や地域資源を生かしながら、個別の家庭状況に応じ支援策を調整、調達する。」ということを個別支援とし、「あわせて、すべての子育て家庭が子どもを授かり、子どもを育てることを開始した時から、社会的に包摂される仕組みを地域の中に作ることを指向し、より包括的、予防的にコーディネートする。」ということを地域支援と位置づけました。
 今までの地域子育て拠点事業に加え、支援者が積極的に地域の支え合いを促進することが地域支援強化型であるということ。またコーディネーターはその中でも利用者同士、利用者と地域をつなぐ、積極的に地域に出向く、積極的に地域の支え合いを促進するという部分を担うと考えます。コーディネーターは新しいことを始めるのではなく、拠点事業の役割としてやってきたことを基盤にして地域の中に役割をひろげていくイメージです。

<子育て支援コーディネーターの役割について> (手元資料をもとにした補足説明)
1)子育て家庭の包括的支援
心配な家庭に対して、家庭のキーマンを探し、介入していき、関係性を広くとらえ、子育て領域以外の専門機関につないでいくことも必要です。
2)家庭の状況の見極めと家族側からの状況の理解
家族が認識している主観的事実と客観的に見た家族の状況を把握し、共有していけるところを探すことが必要です。
3)子どもの育ちを見通すコーディネート
乳幼児期のみを見るのではなく、視野を広げ、長く家族を見通す必要があります。
4)拠点を超えた地域資源のコーディネート
一定の地域を一人のコーディネーターが担当することが多いため、所属機関からの中立性をもつ必要があります。
5)縦断的、横断的につなぐコーディネート
長期的な視野で援助を続ける必要があります。
6)必要な資源の見極め、提案
多くの家庭が必要としていることを見極めるだけでなく、少数派の必要とすることも読み取らなくてはいけません。
7)地域資源の開発
専門職や地域とつながり、資源を作ってくれそうな人と協力して作っていくこともできます。
8)利用支援を入口とした個別支援の展開
サービスの利用をきっかけとし、隠れたニーズを掘り起こし、適切な機関とつなぐことも必要です。

<子育て支援コーディネーターに求められる力量>
 概要版 では7つの力量についての説明がありますが、なかでも基盤となる力量として、常に「利用者が主体であるという姿勢を貫ける力」があげられます。また、家族状況の見極めや意向の把握、家族と資源の関係の把握、紹介する地域資源の選択や家族と資源の仲介方法の選定、並びにそれらが家族に与える影響の予測等、諸要因を考慮しつつ、当事者、利用者に寄り添い支援を続けていける特有の思考過程の獲得が必要です。
  一人の当事者のニーズを拠点スタッフが地域へつなげ、地域の中で一つの資源を作り、当事者が支援者にまで発展した事例もあります。
 拠点がコーディネーターの役割を担うことによって実現していくことができるイメージを皆で共有しながら、必要なスキルを明確にしていきたいと思います。
 また、コーディネーターとして機能する際に大事なことは、コーディネーターが地域の中で多様なネットワークを持ち、地域の中に存在し、地域の人々、専門機関、行政から認知されているということです。
 私達は、障がい者、高齢者、地域の方々と地域を共有しています。その方々への支援と私たちの実践している支援が全く別のものであるわけではありません。協力して一つの地域の中で、親子を支えていく、家族を支えていく、そんな役割を果たしていけたらと思います。
 さらにこれを受けて、ひろば全協理事長の奥山から、子育てコーディネーターの「育成」と「位置づけ」について説明がありました。
奥山 千鶴子 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事長 




子育て中の親たちとともに平成12年4月、商店街空き店舗を活用し「おやこの広場びーのびーの」を立ち上げた。平成17年には、全国の子育てひろば実践者をサポートするため全国組織を立ち上げ、平成19年4月、NPO法人子育てひろば全国連絡協議会として法人化した。主な著書「子育て支援NPO親たちが立ち上げたおやこの広場びーのびーの」(共編著 ミネルヴァ書房 2003年)、「50のキーワードでわかる子育て支援&子育てネットワーク」(執筆者 フレーベル館 2007年)
  黒田室長の講演資料に「子育て支援コーディネーター」や「利用者支援」が入り始めた時から、ひろば全協では、子育て家庭に寄り添い身近な場所で活動している拠点事業の中にその機能が位置づけられるよう考え、先行して調査研究を行いました。来年の3月までには、自治体によって選択できるような利用者支援のイメージを提示していきたいと考えております。
  そこで、本日は子育て支援コーディネーターの調査研究と、利用者支援の先行事例についてのお話をさせていただきます。

<子育て支援コーディネーターの育成>
1) 事例検討の積み重ねによる力量形成
事例検討会などを通じて事例対応ができる力をつけることが大事。机上ではなく実践、事例検討を積み重ね、振り返りを重ねることにより経験値が上がり、力をつけていった人がスーパーバイザー的役割を担うようになればよい。
2) スーパーバイズのしくみとインセンティブ
コーディネーターをサポートするスーパーバイズの仕組みが大事。市町村事業に位置付けられていくことでいえば、研修の仕組み、スーパーバイズの仕組みを事業の中に組み込んでいく事が質的向上には欠かせない。
3) コーディネーターとしてのアイデンティティの確立
コーディネートするという専門領域を確立していく事が大事。自分が持っている既存の資格にこだわってしまうと、うまくコーディネートできないという可能性もある。
4)研修システムの構築
新しい事業形態であるので、研修システムが必要となる。今後、ひろば全協で検討していきたい。

 自治体の先行取り組みについて、昨年度の地域子育て支援拠点研修千葉開催において発表された取り組みを紹介いたします。

 松戸市の子育てコーディネーターは、拠点のひろば型センター型のスタッフから養成されています。現在研修が済み、認定されているコーディネーターは25人。市内の地域子育て支援拠点で情報提供や相談を行っています。コーディネーターの認定要件は地域子育て支援拠点で中心スタッフとして就労しているスタッフ。認定後も2ヶ月に一度程度のフォローアップ研修を行っているそうです。
 拠点施設に設置してよかったところは、拠点のスタッフは身近な存在であり気軽に相談できるということや、何度も拠点に通ううちに相談したいという気持ちを持ってもらえる。市内全域に配置されていること、スタッフ間の定期的な情報交換がある、また地域との関係をつなでいけること等があげられています。

 浦安市の子育てケアマネジャーは、子育てに関することであればどんなことでも受ける、ワンストップサービスだとおっしゃっています。地域の方々向けに子育て・家族支援者養成講座受講者のなかから面接し、適性のある方々を子育てケアマネジャーとして認定しているそうです。現在8名いらっしゃいます。市民の目線で傾聴する、敷居の高さを払しょくするため一般の市民から養成しています。配置は子育て支援センター内と市役所の中の総合窓口。どちらもついでに立ち寄ることができる身近な場所ということです。ケアマネジャーはローテーションで二つの窓口につき、電話相談も受け、8人の情報共有、振り返りもしっかりされていることが特徴的です。
 二つの事例からみますと、子育て家庭に身近な場所の捉え方は各自治体それぞれですが、専門職の方よりも一般の方を養成していく方が、より敷居の低い相談が実施できると考えられているようです。

 ひろば全協では、子育て支援コーディネーター養成講座のプログラム開発のために、平成24年度に調査研究を行いました。平成25年度にモデル実施を行い、平成26年度より養成講座の本格実施をめざしております。是非皆様にも参加していただきたいと思っております。

<子育て支援コーディネーターの位置づけ>
1) 制度的な位置づけと社会的認知
これから動きがあると思うが、制度的な位置づけの明確化、社会的認知を明確にする。
2) 所属組織を超えた専門的判断の独立性とコーディネーターのネットワークの構築
所属組織はありながらも、コーディネーターとしてのネットワークを構築し、情報交換などからスキルアップしていく。
3) 子育て家庭の身近な場所で発揮されるコーディネート
身近な場所というのが大事。
4) コーディネーターの適切な処遇と身分保障
独立した処遇と身分保障が大事。
5) コーディネーターの資格要件
これから検討が必要で来年の3月までに明示をしていきたい。

 待機児童解消加速化プランの中で利用者支援が先行して検討される予定ですが、利用者支援は待機児童の解消のための保育コンシェルジュだけではありません。待機児童がいない場所ではもっと別の利用者支援が必要であると捉える事ができますので、待機児童解消加速化プランにのったということは、私達の検討してきた子育て支援コーディネーターを先に進める理由付けをいただいたということだと思っております。
 その後、パネリストには、会場の皆さんから寄せていただいた質問票に答えていただきました。
 新たな制度に向けて人材養成、スキルアップをどうしていったらよいかという質問に対しては、地域機能強化型の施設に従事する職員の資質向上のために、「専門性強化対策費」の支援があることなども紹介されました。
 また、「地域子育て支援拠点事業」の今年度からの補助額の詳細を知りたいという質問については、ひろば全協のホームページからご覧いただけることも紹介されました。
★地域域子育て支援拠点事業の管理運営要領(実施要綱)(PDF)

 
  平成27年度からの子ども・子育て支援新制度を実りあるものとして実現していくためには、消費税の使い道を子育てにも拡大していくという安定財源の確保も重要であるとともに、地方版子ども・子育て会議へ参画や、利用者支援の充実など体制づくりを進めていくことが大切です。ひろば全協としても、子育て支援コーディネーターがしっかりと地域子育て支援拠点に位置付けられるよう、引き続き働きかけていきたいと思います。

・新制度の輪郭が少し見えてきた気がします。今、私たちがしっかりと主体的にとらえていかないいけないということがよくわかりました。
・黒田さんのお話、橋本先生のコーディネーターのお話、どちらもわかりやすく力をいただきました。しっかり勉強して行政にも声をあげていきたいです。
・今後の行政施策が提起され何を準備していけば良いのかがある程度理解できました。子育てコーディネーターの役割や必要性は理解できましたが、育成面についてはかなりの投資が必要であると感じました。
・新制度、ケアマネ、コーディネーター、地域によって仕組みが違っていて難しい。
・難しい話もありましたが「この分野がアイデンティティを確保し確立するところにいる」という力強い言葉でパワーをもらった気がしました。
・是非早期に子育て支援コーディネーター養成講座を作って私たちが受講し、専門性を身につけられるようにお願いしたいです。


 





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