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平成27年度 
子育てひろば全国連絡協議会 公開セミナー

   平成27年6月7日(日)第9回通常総会が終了し、平成26年度の事業報告・決算報告、および平成27年度の事業計画・予算が承認されましたことをご報告申し上げます。また、総会終了後に開催した公開セミナーには、全国から155名の方々にご参加いただきましたことを心より感謝申し上げます。

◆日時 平成27年6月7日(日)14:30〜16:30
◆開催場所 全国町村会館2Fホール(東京都千代田区永田町1-11-35)
◆対象 子育てひろばに関わる実践者・行政担当者・研究者など
◆参加費 無料
講演 (14:30〜15:00)
「子ども・子育て支援新制度の概要と地域子育て支援拠点事業、利用者支援事業への期待」
長田浩志氏 内閣府子ども・子育て本部 参事官(子ども・子育て支援担当)(登壇時)
 子ども・子育て支援新制度は、消費税率の引き上げにより確保される財源を活用して、支援の質・量両面にわたる拡充を行うことを予定していたため、消費税率が8%に据え置かれることになったことで、関係者には心配をかけた。しかしながら、消費税率が8%に据え置かれた中にあっても、10%の引き上げ時に予定していた改善措置を、新制度スタート時の平成27年4月から全て実施できることとなった。これが可能となったのは、社会保障制度の中で、子育て支援優先の予算編成が行われたためであり、画期的なこと。
  新制度の意義として、待機児童の解消に注目が集まりがちだが、それ以外の大事な点として
・幼児教育の機会を保障する
・3歳児未満の在宅子育て家庭を含め支援する
・当事者参画(地方版子ども・子育て会議等の活用)により子ども子育て支援を進める
といつた点を指摘したい。
 新制度によって市町村には幼児教育の機会を保障する義務が生じた。これまでは市町村には保育所を実施する義務があり国や自治体が費用負担してきた。一方、私立幼稚園には、私学助成や就学奨励費等の公費支援はあったが、義務ではなかった。これからは、国・自治体が義務として費用を負担するとともに、保育園しかない地域では、例えば保育園を認定こども園化することを検討するなど、在宅の3歳以上の幼児教育を受けることを希望する子どもに対する幼児教育の機会を保障しなければならない。
 3歳児未満の在宅子育て家庭の子どもは、3歳児未満児全体の72.7%になる。育児不安や負担などが強い傾向にある層でもあり、この方々を地域子育て支援拠点、ひろばや一時預かり事業などで支えていってほしい。また、地域子ども・子育て支援事業で新設された利用者支援事業を是非有効に活用して頂きたい。
 地域子ども・子育て支援事業は、市町村事業であるため、市町村間で格差が出やすいといわれている。是非、地方版子ども・子育て会議等にも参加していただき、また会議に対して多様な意見を発信してもらいたい。各市町村で子ども・子育て支援事業計画が作られ、制度もスタートしたが、計画を作ったら終わりではなく、当事者参画の下、継続的に、点検・評価を行っていくことが重要。これからのセカンドステージが大事。
竹林悟史氏 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局総務課 少子化対策企画室長 (登壇時)
  3歳未満は7割が在宅で子育てしている時代、地域の関係が希薄になり子育ての孤立化、不安感の高まりがある。拠点はともに集う場、情報を共有する場、相談する場として、一時預かりやファミリーサポートセンターと並ぶ地域の子育て支援の重要な事業となる。
 市町村子ども・子育て支援事業計画の推進に対して、ひろばの皆様も関わってほしい。親子の身近な拠点で活動する利点を活かし、利用者の視点に近いニーズを行政に伝えていって欲しい。
 利用者支援事業は、総合的な利用者支援と地域連携という軸があるが、基本型としてひろばや地域子育て支援拠点で是非実施してほしい。また、利用者や支援者のニーズに対応するサービスがなければ、地域の支援者や行政と共に作り上げる視点ですすめてほしい。
 市町村子ども・子育て支援事業計画で平成31年度までの目標が取りまとめられた。これからの5年間で、地域子育て支援拠点は6538か所から7815か所へ、利用者支援事業は323か所から1843か所へ増やしていく。国としては、財源を十分確保できているので、進めていただきたい。
 子育て支援員研修については、今まで各自治体で独自の研修を実施し、それを受講しても引っ越し等で他の自治体へ行った場合になどには研修を受けなおすことがあった。国から研修の体系を示すことにより地域子育て支援拠点等の実施者に対しても、全国統一の研修カリキュラムに基づいた研修の機会を作っていくことが可能となった。
 4月に新制度はスタートしたが事業の充実はこれからになる。特に13事業については細かいところまで実施要綱で決めておらず、なおかつ新しい利用者支援事業はこれからがスタートとなる。国としても精一杯サポートしていくので、現場の皆様には新しい事業の肉付けをしていただきたい。
 
パネルディスカッション (15:00〜16:30)
「地域子育て支援拠点事業の質の向上を考える」
<パネリスト>
大豆生田 啓友氏 玉川大学 教育学部 乳幼児発達学科 教授
岡本聡子 NPO法人ふらっとスペース金剛代表理事 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事
松田妙子 NPO法人せたがや子育てネット 代表理事 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事
<コーディネーター>
奥山千鶴子 NPO法人びーのびーの理事長・NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事長
大豆生田 啓友氏 玉川大学 教育学部 乳幼児発達学科 教授
◆「わかってくれる誰か」がいること
 新制度の説明では待機児童ばかりがクローズアップされがちだが、0,1,2歳時の親子には子育てのひろばが大事であることを実感している。
 ある番組に出演した時、司会者から子どものイヤイヤについて「ほったらかしてしまっている。しんどいんです。ダメですよね?」と質問を受けた。そこで、「わかりますよ。ほったらかす時があってもいいんです。1日中 イヤイヤに付き合ってられません。頑張ってますよ」といったら、それから彼女は番組中に15分間泣き続けて、視聴者から共感の電話が多く寄せられたそうだ。子育て中の母親はいつも笑顔ではいられない。わかってくれる誰かがいることが、ひろばがあることの大きな意味である。 
◆質の高い保育(育児とは)
 大人が乳幼児期の子どもの声や発話にどう反応するか、原初的な子どもからのコミュニケーションの働きかけを母親がどう受け止めているかは、子どもの自尊感情・自己肯定感へとつながっている。
 乙武洋匡さんは、生まれたとき最初にお母さんが赤ちゃんである彼との対面で「まあ、かわいい」と言ったことがこれまでの彼を支えてきたそうだ。母親が子どもを「愛おしい」と思うことは子どもが自分が自分であることを大事に思うことにつながる。そこを支えることが子育て支援には重要。
 機嫌のよい大人のもとで過ごすことは子どもの良い育ちに影響する。母親が幸せならば子どもを保護する方向へ動き、それは子どもの育ちにつながって思春期も続いていく。
◆2人称的(私とあなた)子育て支援
 産前産後の母親に子育ての手順だけを伝えると、余裕がなくなり手順をこなすことが優先されがちな子育てになる。赤ちゃんに反応して話しかける一人語りなど自然な関わりを、支援者も一緒に共感しながら支えていくことが大切。母親が「赤ちゃんが〇〇したんです」といってきたことに対し、支援者が「あーよかったねー」と自然な会話を大切にすることが大切である。このような自然な会話を大切にする支援をすることによって、面会を楽しみ、赤ちゃんへの声掛けが増え、親としての自信や赤ちゃんへの愛情や喜びを抱くように変化していく。
 人類が生き延びてこれたのは、見知らぬ誰かに対して食べ物を分け与えてきた(共感)ためで、これは人間であることの根幹であり、相手に気持ちをよせる、共感するという本来のあり方でもある。
◆赤ちゃんは他者を気遣う存在
 赤ちゃんは顔が好き。大人の感情を理解し、意図に合わせようとする他者に気遣う存在である。
 あるひろばでは土にこだわり、徹底的に子どもが泥で遊ぶことを大切にしている。親は汚れることを嫌がるが、子育てはモデルがある事が大事で、第一子の乳幼児期の親子がひろばでどんな文化に出会いどんな体験をするかが、とても大切になる。
◆「鑑賞眼的評価」というもう一つの評価の捉え方
 ひろばでヒューマンエラーが起こったとき、チェックリストをいくら作りこんでもエラーは減らない。このような客観的な評価を単に行えばよいということではなく、関係性の質を高めていくことが、支援の質を高めていく。そのカギは、語り合い、支え合う、関係性に重視したもう一つの評価の方向性である。
 質の向上のためには、いろいろな人が声をかけていくほうがよい。ケアする側がケアされ、それがお互いの中で起こっていく(=ケアリング)ことが、質の向上につながるのではないか。
◆新制度第2ステージに向けて
 ある自治体の子ども・子育て会議では、市民、自治体、関係者が協力して、保育の質の向上、子どもの居場所作り、地域子育て支援ネットワークの確立に挑戦している。新制度の中身ができたかどうかではなく、多様な関係者を巻き込んでアクションを起こすことが、次の時代に向けてのカギである。
岡本聡子 NPO法人ふらっとスペース金剛代表理事 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事
 これまで、地域子育て支援拠点事業が子育て家庭に及ぼす効果が学術的に確立されていなかったので、拠点のスタッフは専門性が明らかにされないまま現場でやってきた。
 そこで、ひろば全協は認定講座として、地域子育て支援士一種、二種養成講座を開発し、二種では783名に認定証を発行した。
 地域子育て支援士二種・一種養成講座には、3つの目的がある。1つ目は拠点事業の普及啓発のため、拠点事業の価値を発信し、認知度をアップすること、2つ目は実践経験を積んできた実践者のエンパワメント、3つ目は職人技として実践者が取り組んできたことをひろば全協が体系的に整理することである。 
  二種養成講座は、学生、ボランティアも受講対象のため次世代育成にもなり、地域の子育てを支える裾野を広げることができる。拠点事業の初任者として必要な要素をまとめたので、子育て支援員の講座としても開催しやすいものとなっている。昨年度受講した方からは、日頃の実践や仕事が認められてうれしいとのお声をいただいた。さらに一種養成講座は、当事者に寄り添う場づくりのプロを育成する講座となっている。
 
松田妙子 NPO法人せたがや子育てネット 代表理事 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事
 2009年からひろば機能拡充予算で「つなぐ」、「個別対応支援」をスタートした。「つなぐ」ための努力では、支援者同士のつながり、ネットワーク推進会議などでの機関とのつながり、ひろばに来ない親子とのつながりなどのほか、ブログでの情報発信やfacebookの活用なども行っている。
 ひろばへのつなぎでは支援を必要としている人へのアプローチとして、地域のネットワークに参加し、ひろばを紹介したり、情報交換をする。町内会への加入や、商工会、市民公益活動支援センターなど子育てと直接関わりのない機関とも連携し、地域へ存在をアピールしていく。
 
  出向いていく支援では、行くことが目標ではなく、必要なところへ行く。「つなぐ」というのは、支援の機関へ手渡すことではなく、その後もつながっていること、見守り続けていくことが重要。個別支援では、訪問支援、同行、申請手続きなどの代行、見守りなどがある。自分が何に困っているのか、どんな支援がうけられるのか、どうすれば申請できるのかなど、様々なハードルを一緒に乗り越えていく。
奥山 千鶴子 NPO法人びーのびーの理事長・NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長 
 子ども・子育て支援新制度は、本実施を前に自治体も準備に追われている状況だと思う。制度は毎年変わっていくが、地域子育て支援拠点の役割と機能を深めていくことは変わらずに求められている。人口減少社会において子どもたちは群れの中で育ちあうことが難しくなり、都会の中での孤立した子育てが増えたり、子育ての不安感はなかなか払拭されないなど子育てをめぐる問題は、制度が整ったから解決するとは限らない。
 支援者として何ができるのか、何をしていくのかが問われている。行政も手探りの状態だと思うが、目の前の親子を支援していく中から見えてきた課題をうまく行政に伝え、新制度に位置づけられた利用者支援事業につなぐアプローチをしていきたい。
  
アンケートより
・事業を行う上でのヒントや今後の課題と思える内容があり勉強になった。
・パネルディスカッションの中で「やっている」と「できている」は違う、という言葉や、拠点だけができればいいわけではなく、他の事業との関係性も創るという内容が印象に残った。
・地域のいろんな人たちとつながることの大切さを認識した。
・行政説明は最新の内容の濃いものだった。わかりづらかった国の施策がよくわかった。

 





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