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2019年度 
子育てひろば全国連絡協議会 公開セミナー
〜最新の調査研究をふまえた拠点事業のこれから〜

   2019年6月9日(日)第13回通常総会が終了し、2018年度の事業報告・決算報告、および2019年度の事業計画・予算が承認されましたことをご報告申し上げます。また、総会終了後に開催した公開セミナーには、全国から約167名の方々にご参加いただきましたことを心より感謝申し上げます。

◆日時 2019年6月9日(日)13:50〜16:00
◆開催場所 日本教育会館 8階第二会議室
(東京都千代田区一ツ橋2-6-2)
◆対象 子育てひろばに関わる実践者・行政担当者・研究者など
◆参加費 無料
基調講演 (13:50〜14:20)
仕事キャリアと家族キャリア 家族形成をめぐる新たな潮流
筒井淳也さん 立命館大学産業社会学部 教授
 少子化、未婚化が進む中、生涯結婚しない人が多くなってきているが、この状況が進むと子どもを持つ人と持たない人の間で社会的分断がおきる可能性がある。子どもを持たない人が社会の中で子育てに貢献する機会が少なくなり、社会全体の分断が進むことがないよう、どこかで連帯意識を持つことができることが大切だと考えている。
 
社会学的に、戦後は家族と仕事の面から3段階の時期に分けることができる。
 第1段階(終戦〜1950年代前半)は団塊の世代が誕生。農家・自営業(職住近接)・共働きが多く、多子で高齢者は少ない。この時期の特徴は、出産から子育ての期間が長く、15年に及ぶこともあった。
 第2段階(1950年代後半〜1980年代)は団塊の世代が子育てし、多くが結婚をし、子どもは2人世代、専業主婦や団地での孤立した子育ての時代であった。いわゆるこの時代の「標準的」ライフコースが、欧米より短期間(約30年間)で確立している。
 第3段階(1990年代以降)は、孤立や少子化などが問題となり、仕事と家庭の両立問題が生じてくる。ケアの外部化や家庭外保育サービスが拡充。生涯未婚率が増加したが、社会全体で関心を持たないとケアの対象になることもある。
 少子化の7〜9割は未婚化を30年間放置したためと考えているが、未婚化の原因は、夫の収入だけでは生活が安定しないのに、共働きも進まないことにある。共働きが進まない原因は、男性的な働き方を変えずに、そこに女性を巻き込もうとしたため、仕事キャリアと家族キャリアの両立が難しくなった。学生は卒業後、誰かと出会い、結婚・子育てへの具体的な生活が想像しにくくなっている。家族形成を阻害する男性的仕事キャリア(長時間労働・頻繁な配置転換・多い転勤)は、出会い・仕事と家庭の両立・スキル形成・再就職を困難にし、家族キャリアへの展望や家族生活の現状にきわめて破壊的に働くと考えられる。引っ越しが少ないほうが、近隣ネットワークに入りやすく、老後の孤立を防ぎやすいので、特定の地域(転居を伴わない範囲)での長期的かつ安定した生活の確保が大切である。

 子育てしていないなど、違うライフコースの人の生活スタイルも見えやすく、かつそれに触れやすいような社会環境を形成し、短期的両立(子育て期)の支援のみではなく、長期的な仕事キャリアと家族キャリアの両立が可能な社会を目指すべきである。また、共働き社会を進めるために、女性が職場で働く有償労働へ、男性は子育てや家事などの無償労働へと、職場でも家庭でも相互に理解し緩和していくことが少子化解決への糸口になる。
行政説明 (14:20〜14:40)
地域子育て支援拠点事業・利用者支援事業等の最新情報の提供
田村悟さん 厚生労働省子ども家庭局子育て支援課長
◆地域子育て支援拠点事業
 地域子育て支援拠点事業の実施か所数は平成30年度7,431か所となっており、政府の目標値8,000か所までには残り600弱だが、達成は難しい状況。
今後の課題としては、
1.普及促進と地域での活動展開
 市町村子ども・子育て支援事業計画における5か年計画の最終年度であるが、計画に基づいた拠点の未設置地域での立ち上げや、一時預かり事業やファミリー・サポート・センター事業他の地域子ども・子育て支援事業や小規模保育等の実施など、多機能化をより進めていくことが必要である。

2.人材確保・養成・資質の向上
 子育て支援員研修の受講率はまだ低く、職員の資質の向上のためにも、より積極的な研修受講が行われるよう検討が必要である。
3.利用者支援事業(基本型)への展開
 拠点以外の支援へのつなぎ、地域の行政・他機関などとの連携・協働など、拠点としての活動実績を発展させる形での実施は、利用者にとっても有効であり、さらに発展・推進していくことが重要である。
 また、事業全体の話として、来年度に向けて各自治体では新たな計画を立てているところだが、市町村の新たな課題を自治体にお話を聞きながら整理していくことや、財政的な支援についても今後どういう形で評価していくかなども必要と考える。

◆利用者支援事業
 利用者支援事業の実施個所数は、平成30年度全体としては2,278か所で母子保健型が多く伸びている。政府の目標は基本型と特定型合わせて1,800か所で、30年度は1,095か所と目標の半分強。

◆新設の予算について
・平成30年12月に関係閣僚会議において決定した「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」について
利用者支援事業の今年度予算として、多言語化のための取組加算が新設された。
外国人生活者と円滑なコミュニケーションを図るため、子育て支援サービスに対する多言語化の実施として補助基準額は1か所80万円。具体的なイメージとしてはタブレット端末の購入などにご活用いただきたい。
・放課後児童クラブ等におけるICT化の推進
平成30年度第2次補正予算として計上されていたが、ほとんど使われなかったため、今年度に繰り越しとなっている。地域子育て支援拠点事業、利用者支援事業などにおいて、ICT化を進めることで、業務の効率化を図り、負担を軽減するといったもので、利用者の入退館管理や、相談内容の記録管理などにぜひ活用していただきたい。
 
◆「地域子育て支援拠点の利用状況等に応じた職員配置と収支状況に関する調査」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)について
 分析に当たり、利用親子組数の多い・少ないと、職員数の多い・少ないで、4つのパターンに拠点を分類し、特徴を整理した。調査結果から、おもに保育を必要としない子育て家庭が集える地域の拠点として平日のみ開所されている小規模な拠点と、多機能的な子育て支援事業を実施し、土日の開所率も相対的に高い地域の中核的な拠点とでは、必要な職員数や職員に求められる業務量、スキル、拠点が抱える課題は大きく異なっていることがわかった。さまざまな問題を抱えた親子が増えている今、地域子育て支援拠点事業が担う役割はますます重要であり、利用組数だけではなく、それぞれの拠点の果たす機能の違いを踏まえたうえで、補助のあり方を見直していく必要があると、結論づけている。

◆幼稚園・保育所・認定こども園等の無償化について
2019年度10月1日より無償化となる対象は、
@3〜5歳の幼稚園・保育所・認定こども園等を利用する子ども
A0歳児から2歳児の子どもたちの利用料については住民税非課税世帯
B保育の必要性があると認定された幼稚園の預かり保育を利用する子ども
C保育の必要性があると認定された3〜5歳の認可外保育施設等を利用する子ども
D3〜5歳の就学前の障害児通園施設を利用する子ども
の無償化を実施

◆児童虐待防止対策に関する現状・課題と対応について
 児童相談所の相談件数は一貫して増加の傾向にあり、痛ましい事件も発生している状況であることから、児童福祉法等の一部が改正される。地域子育て支援拠点、利用者支援事業に期待される部分も多いと思うので、ぜひ皆様にもご協力願いたい。
研究調査報告 (14:40〜15:00)
地域子育て支援拠点の寄り添い型支援が親の成長を促すプロセス分析と
支援者の役割に関する調査研究報告
坂本純子 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 副理事長
 親子をセットで受け入れ、支援している地域子育て支援拠点事業の特徴である「寄り添い型支援」が、親の不安感や負担感、孤立感をどのように軽減しているのか、また、子育て中の親が持っている力をどのように育み「親としての成長」を促しているのか。この2つのメカニズムを明らかにし、地域子育て支援拠点事業の質の向上に役立てることを目標に、地域子育て支援拠点504ヶ所の支援者とその利用者を対象に、横断研究(質問紙調査と聞き取り調査)および短期縦断研究(プレ・ポスト型質問紙調査と聞き取り調査)によって、本調査研究を実施した。
 本調査から、以下のように定義づけることができた。
 地域子育て支援拠点における「寄り添い型支援」とは、地域子育て支援拠点という場を使いながら、ピア及び支援者との相互作用を活用し、受容の連鎖を作ることを通して、親と支援者が共に相互にエンパワメントし合う活動。
 地域子育て支援拠点における「親としての成長」は、親が日々の子育てや子育てで生じた葛藤や困難に向き合う中で、自らのこれまでの経験を活かしつつ、力添えを受け入れたり、必要に応じて他者に頼るなど、子育てに関する自己決定の経験を通して、わが子への感受性や応答性を高めることにつながり、こうした経験を通して、わが子以外の子どもの存在に気づき、共に養育に関わろうと認識し、行動しようとするプロセスである。
 拠点における「寄り添い型支援」の構造と展開を分析する中で、利用者の親としての成長を促すだけでなく、支援者も親を支援することを通して成長していることがわかった。

 拠点利用者の「親としての成長」は、利用する地域子育て支援拠点を「安全基地・安全な避難場所」と感じることから始まり、支援者や他の利用者に受け入れられる体験によって、親や夫以外の「愛着対象の獲得」につながり、安心な場となった拠点の利用を繰り返すことで「セルフケア」を促し、支援者や他の利用者との交流の活性化によって「養育力の獲得」や「将来展望の獲得」と密接に関連しながら「親としての成長」を促進していくものであることが導き出された。

 この調査研究を通して、親が信頼できる人たちと出会って、支えたり支えられたりしながら経験を重ね、新たなステージに向かっているように感じられ、この事業の重要性・有用性を再認識した。今後もしっかりと拠点事業の価値を社会に伝えていくことが大切である。
 
第3部  パネルディスカッション (15:00〜15:50)
これからの子育て家庭に拠点事業は、どう応えられるのか?
<パネリスト>
筒井淳也さん  立命館大学産業社会学部 教授
田村 悟さん 厚生労働省子ども家庭局子育て支援課長
坂本純子 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 副理事長
<コーディネーター>
奥山千鶴子  NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事長
 
奥山千鶴子  NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事長
 子育て期の短期的両立の支援のみならず、長期的に仕事キャリアと家族キャリアのイメージを持つことができる社会、またそうした生活スタイルに触れるような環境づくりが重要であり、拠点もライフステージを意識した活動を行っていかなくてはならないと感じた。例えば、赤ちゃんとのふれあい体験を中学校や高校と連携して行っていたり、夏休みなどに学生ボランティアを受け入れているなど、地域支援の加算になっていなくても大事な事業として取り組んでいる拠点も多いのではないか。その点を再評価をしていく必要がある。
 また、ひろば全協の調査では、66%の拠点が土日に開館しているという結果であり、土日に開館しないと、就労している人とのつながりが作りにくい状況になってきている。就労している利用者にヒアリング調査をしたところ、「仕事も子育ても完璧に」と思っていた人が、「拠点に来て張り詰めていたものが緩んだ」という方が結構いらした。親と子の成長という点においても、「拠点に来ることで生活リズムや子どもとの距離感を体験的に学んでいくことができた」と話す利用者が多かった。
 今後は、多様なニーズを持つ家庭(単身赴任・転勤族・外国人家庭・ひとり親家庭・経済的困難家庭等)に対し、私たち自身が支援者としてのポテンシャルをこれまで以上にあげて支援を行っていく必要がある。その際に支援者は、古い価値観で利用者を追い込むことがないようジェンダー的な視点にも配慮しなければならない。
尚、2年にわたる調査研究を通して、利用者数の多い拠点では、対人援助業務に非常勤職員が多く配置され、間接業務の負担が常勤職員に集中といった課題があがっている。積極的に対人援助やプログラムを実施すればするほど非常勤職員で対応せざるを得ない。一律の補助金ではなく利用者の多い拠点への補助の見直しも検討課題と考えられる。
坂本純子 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 副理事長
 筒井先生が話されたコンフリクト(対立・衝突)が、女性の利用が多い拠点において解消されていることが調査結果にも表れていた。母親は初めての子育てで不安定な段階から、経験を通して安定した養育能力を身につけ、配偶者との関係性を見直し、将来展望や職業観を獲得していく。また、父親にとっても、コンフリクトの解消の場として有効であることがわかった。
 また、地域子育て支援拠点では、思春期から青年期にかけての人たちと赤ちゃんとの出会いの場を作っている。子どものいる暮らしや家族というものを体験してもらい、子育て世代と未婚の方との分断を地域レベルで解決できる機会を創出することは、拠点ならではの活動だと考えている。 
 さらに、利用者同士の支え合いが支援を促進することも特徴的である。集団の力がうまく作用して変化していくという営みも起こっている。支援者は、利用者全体を見渡し、集団の力学を上手に使いながら支援する高度な支援スキルを発揮している。もちろん、虐待予防の役割も果たしているわけで、このような拠点の役割をもっとアピールしていく必要がある。
田村悟さん 厚生労働省子ども家庭局子育て支援課長
 共働きの家庭においては、土日利用のニーズに応じ、それに応えていくことは重要と考えられるが、予算に直結する問題でもある。予算要求のためには、根拠となるデータが必要であり、そのために調査研究を行ってきた。今回、その特徴が明らかになってきたことから、今後さらに検討をしていきたい。
 拠点は親子にとって敷居が低く、気軽に通えて相談できる身近な場であってほしい。そのためにも国としても今後もできる限りの支援をしていきたいと考えている。
筒井淳也さん 立命館大学産業社会学部 教授
 家族社会学の観点からみると、日本は小家族主義で、家族や親族を超えて交流する機会が海外と比べて非常に少ない国である。拠点はその垣根を越えて地域社会と交流する機会を提供できる場ではないか。女性が職場で働く有償労働へ、男性は子育てや家事などの無償労働へという変化する中で、女性は家庭が変わらないまま働きに出ている。職場でも家庭でも相互に理解することが少子化解決の糸口にはなるが、子育てや家事の分野では、特に男女間の労働調整、擦り合わせが難しい。有償労働の職場では、コンフリクト(意見の対立)が起こった際、第三者による調整が可能だが、無償労働の家庭の場では、第三者が介入しづらい。方針の対立や不満が積み重なってストレスが生まれた場合、拠点のように家庭の垣根を越えて第三者が支援してくれる場はとても重要だと考えられる。
 家族やジェンダーに関する調査によると、全般的に男性の方が、人と交わることが苦手である。これは高齢者の孤立にもかかわる問題である。子育て経験を通じて人と関わる、人に頼る、悩みを打ち明けるなど、拠点の持つ機能は非常にポテンシャルが高い事業だと考えている。ぜひ、このような活動をこれから様々な場で紹介していきたい。
 
交流会 (16:00〜17:00)
   
   

 





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