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平成23年度 子育てひろば全国連絡協議会 公開セミナー
新制度「子ども・子育て新システム」に向けて
地域子育て支援拠点のこれからを考える
平成21年度に子ども・子育て新システム検討会議が開催され、3つのワーキングチームが立ち上がりました。
東日本大震災により、乳幼児子育て家庭への支援の弱さや課題が浮き彫りになり、だからこそ包括的な家庭支援の制度が求められていると感じます。
そこで、今回の公開フォーラムでは「地域子育て支援拠点」が新制度で果たすべき役割について考える機会とし、全国各地から120名の参加者の皆さんにお集まりいただきました。
パネラーとして、厚生労働省少子化対策企画室長の黒田さんには、地域子育て支援拠点が新システムの中でどう位置づけられていくのかをご紹介いただくとともに、新制度に関わる財源問題含め、社会保障改革に関する集中検討会議の委員であり、横浜市元副市長の前田正子さんには、社会保障と新制度の関連についてもお話しいただきました。
また、ひろば全協理事で、「子ども・子育て新システム」基本制度ワーキングチームの委員である奥山千鶴子、社会保障改革に関する集中検討会議の委員である中橋惠美子、「子ども・子育て新システム」こども指針(仮称)ワーキングチームの委員である松田妙子から各会議の様子について報告がありました。
以下はそれぞれの登壇者の方々がレジメをもとに発表された概要です。
パネリスト
黒田 秀郎さん
(
厚生労働省
雇用均等・児童家庭局総務課 少子化対策企画室長)
前田 正子さん
(
甲南大学
マネジメント創造学部 教授)
奥山 千鶴子
(
NPO法人子育てひろば全国連絡協議会
理事長 /
NPO法人びーのびーの
理事長)
コーディネーター
坂本 純子
(
NPO法人子育てひろば全国連絡協議会
理事長
/
NPO法人新座子育てネットワーク
代表理事)
■子ども子育て新システムについて
「子ども・子育て新システム検討会議」について -内閣府-
子ども・子育て新システムの基本制度案要綱(PDF)
各WT会議資料(各構成員・提出資料・今後のスケジュール等)
■ひろば全協メンバー ワーキングチームへ参加 →
こちらです
◆日時
平成23年6月12日(日) 14:30〜16:30
◆場所
島根イン青山島根イン青山
◆参加者数◆参加者数
120名
◆参加費
無料
◆主催
NPO法人子育てひろば全国連絡協議会
●● パネリストより ●●
◆黒田 秀郎さん
(
厚生労働省
雇用均等・児童家庭局総務課 少子化対策企画室長)
平成3年に厚生省(当時)に入省。これまで大臣官房、年金局、老健局、医薬食品局に在籍し、省庁再編、介護保険制度改正などに従事。平成13年から16年まで宮城県庁に出向。平成22年7月より現職
「子ども・子育て新システムは論点を統括しようとしていたところに東日本大震災が起きて約2か月会議が中断し、10月以降の子ども手当についても、まだ議論が続いています。
しかし、子育てを親だけに任せるのではなく、社会全体で子育てを応援することは共通の概念であり、全体として、子どもに関する施策を後退させていい、親に戻すべきだという話にはなっていません。子育て支援を手厚くさせていいというコンセンサスは取れています。」と話されました。
また、黒田さんご自身が以前、宮城県に出向されていた時に、一人目のお子さんが仙台の子育て支援拠点にお世話になったとのことなども振り返りながら語られました。
そして、次のような項目についてご説明いただきました。
パネリスト 黒田 秀郎さん
●子ども・子育て新システムについて
「子ども・子育て新システムは、社会全体で子育てを応援していこうというもので、6月の中間とりまとめの一歩手前の時期にあります。拠点事業についていえば、利用者支援が大切であり、それは、市町村だけでできるものではなく、拠点ならではの利用者目線での支援が必要になってくると考えられます。また、市町村にも推進の要となる多様な関係者で構成される子ども・子育て会議の設置が検討されています。」
●子育て支援コーディネーター(仮称)
「子育て支援コーディネーター(仮称)は利用者からの多様なニーズにこたえられるような存在ですが、個別の対応は拠点を中心とした地域の専門機関などのパートナーにつなぐことになります。尚、子育て支援コーディネーターは拠点にプラスアルファの職員を置くイメージです。」
●子ども・子育て新システムの実施に向けた考え方
「子ども・子育て新システムの優先課題は何か、すでに挙がっている課題だけでいいのかを考えながら、今まで以上に手厚いサービスを提供することなど、質と量の両方を追いかけていきたいと思います。社会保障改革における「3本柱」の第一に子育て支援が位置づけられ、社会保障改革の最優先課題であり、まだ政局が不透明ではありますが、方向性は安心してよいと思っています。」
◆前田 正子さん
(
甲南大学
マネジメント創造学部 教授)
早稲田大学卒業後、松下政経塾入塾。1992年より生後半年の息子を連れて米国留学。帰国後、第一生命経済研究所ライフデザイン研究部門で育児支援策の研究に携わる。2003年より2007年まで横浜市副市長として育児支援の基盤整備などを担当。2010年より現職。地域主権戦略会議・権限移譲担当主査。社会保障と税の一体改革検討会議委員
パネリスト 前田 正子さん
横浜市の地域子育て支援拠点の予算や他の子育て支援施策との数的な比較を含めた具体的な資料をご提示いただきました。20分という限られた説明時間の中でも、具体的な情報を明解に説明してくださるパワフルなトークに、会場はあっという間に引き込まれていきました。
●きめ細やかな包括的支援が必要
基礎自治体には、サービスのコーディネーターとして、NPOや地域と連携しながら、包括的現物サービス基盤の整備をしていくことが求められています。子どもの問題は、予防的支援の視点も含めて、「家族を受け止める支援」であり、多岐にわたる問題に対しきめ細やかな支援が必要です。それは、現金給付だけでは解決できないこともあるということを前田さんは強調されました。また、それを実現するためは、「財源」と「権限」をもっと基礎自治体に持たせる必要があるものの、実態として、現状の国の補助単価が、地域にとって必要なコストに対してどの程度かけ離れているかということもデータで示されました。これからは、必要なサービス量を把握した上で財源配分をすることが、未来への投資につながるという点は、今後求められる実務と未来への展望を明らかにするお話でした。
●地域で子育てしやすい環境の整備のために
地方の事例として、2007年まで副市長をされていた横浜市について、2011年度の子ども青少年局の項目別予算をご紹介いただき、障害児や児童虐待、そして在宅の子育て支援の予算が子ども手当の現金給付予算が比較していかに少ないかを明示されました。「地方自治体には、年金、医療、介護と重点課題がいくつもありますが、消費税アップを論ずるなら、本当に必要なこととして子どもの部分も乗せていくことが優先課題であり、まだ遠い道のりかもしれないが、まずは、日常の小さいことから本当に必要なものを積み上げていくことが大事だと思います。」と話されました。
◆奥山 千鶴子
(
NPO法人子育てひろば全国連絡協議会
理事長 /
NPO法人びーのびーの
理事長)
子育て中の親たちとともに平成12年4月、商店街空き店舗を活用し「おやこの広場びーのびーの」を立ち上げた。平成17年には、全国の子育てひろば実践者をサポートするため全国組織を立ち上げ、平成19年4月、NPO法人子育てひろば全国連絡協議会として法人化した。 主な著書「子育て支援NPO親たちが立ち上げたおやこの広場びーのびーの」(共編著 ミネルヴァ書房 2003年)「50のキーワードでわかる子育て支援&子育てネットワーク」(執筆者 フレーベル館 2007年)
総会終了後には仙台から参加してくださった2団体の方にコメントをいただき
、現在の宮城の状況などをお話しいただきましたが、公開フォーラムの奥山の発表の冒頭では、福島県の会員団体から届いた手紙を読み上げ、福島県の親子の気持ちや子育て支援団体の活動や想いを共有しました。
「横浜市の人口規模では“親と子のつどいの広場事業”だけでは足りず、18区の各区に1ヶ所、単館型の地域子育て支援拠点が設置されました。この横浜の地域子育て支援拠点には、国からの予算に自治体独自の予算がかなり加算されていますが、私たちには国と市町村の分担割合などは見えにくいと感じています。
また、先ほどの仙台からの2団体のお話や
福島からの手紙
を読んで、やはり現場の人の言葉は大変重いと感じました。震災を通して乳幼児の親子は、“どこにも属していない寄る辺なき人たち”となってしまい、安否や被災状況などを把握するのが難しかったと聞いています。このような状況だからこそ、仕組みづくり早急に必要だと考えています。
さらに、市町村の子育て支援の事業計画、実施、評価などを行う、「地方版子ども・子育て会議」の立ち上げが重要であり、市町村の重要な協働相手となれるよう、NPO自身も制度の動きをウォッチして行かなくてはなりません。」と述べました。
パネリスト 奥山 千鶴子
中橋惠美子
3名の登壇者のそれぞれの説明が終わったところで、中橋惠美子理事からは、税と社会保障の一体改革のメンバーとして、「社会保障制度の中に子ども分野が組み込まれていくこと、そのために子育て支援の現場の声を直接届けられたことは大変意義深く、国も重要課題の一つとして位置付けていくということを理解してもらえたと思っています。」と会議の紹介がありました。
また子ども・子育て新システムの「こども指針(仮)ワーキングチーム」のメンバーである松田妙子理事からは、「こども指針(仮)は、この国の子どもをどう育てたいのかという哲学・理念の部分と具体的な要項との2部構成になっています。具体的な指針や要項の文言、質や量といった議論だけでなく、学校教育へのつなぎや、地域へのつなぎなど、家庭や社会に資する内容について丁寧に検討していくことが大切だと考えています。」との発言がありました。
松田妙子
●● パネルディスカッションと会場からの質問 ●●
その後、会場からの質問用紙にも答えていただきながら、登壇者のパネルディスカッションは進みました。
◆坂本 純子
(
NPO法人子育てひろば全国連絡協議会
理事長
/
NPO法人新座子育てネットワーク
代表理事)
コーディネーター 坂本純子
誰一人知り合いのいない埼玉での出産、そして子育て…。地域で出会った子育て仲間と作ったサークルから、地域の子育て環境を考え始め、 新座子育てネットワークを発足。子育て真っ最中の母親が主役となった地域
の子育て環境整備に、ともに子育てする仲間たちと取り組む一方、専 門 家や研究者、文部科学省をはじめとする行政機関とともに、子育ての当事者として、子育てに関する現代的課題に取り組んでいる。
黒田さんには、子ども・子育て新システムの中でも専任の子育て支援コーディネーター(仮称)についての質問が集まりました。
イメージとしては、現状のスタッフに1人追加して専任スタッフを置き、役所との連携をしながら、ひとりひとりに必要かつ多様な支援に対応していくといったようなネットワーク型の支援が大切だと話されました。そのためには、自治体と拠点の間にもパートナーとしての協力体制、信頼関係も重要になってきます。
尚、子ども・子育て新システムについては、現段階では、6月末に中間報告を出す予定であると話されました。今後の法案成立は、税制改革とも連動しているので、皆さんにもぜひ関心を持ってウォッチしていただきたいとのメッセージで締めくくられました。
前田さんには、「前田さんのような行政マンに出会えないときはどうすればいいのでしょうか?」といった切実な質問も届きました。
本来、基礎自治体が絡まない子育て支援はありえないわけで、子ども・子育て会議(仮称)についても、同じ業界の人たちだけで集まって検討するのではなく、敢えてフィールドの違う人たちが集まり、つながることも重要だと話されました。公務員がケアする部分と、民がつなぐ部分があるはずだということ、また、その仕組みを子ども・新システムを通して構築することで、子どもを大事に育てる日本の子育て支援の道筋が見えてくるということを話されました。
また子ども・子育て会議について、黒田さんからも、子育て分野だけでなく、産業界など自治体のお金について厳しい視点を持っている人なども入れて一緒に作り上げていくと良いのではといった意見がありました。
それらの話を受けて、ひろば全協の奥山からは、社会保障に関して、これまでは年金・医療・介護が中心だったのがこれからは全世代対応型をめざす方向性が出てきたこと、その枠組みに若者や子ども・子育ての分野が初めて入る大変大事な局面であること、しかし、確実に子どもにお金がまわるようにできたとしても、国債発行で次世代につけを回すようであっては困るといったアピールがありました。
さらに、市町村版子ども・子育て会議については、今から市町村に設置されている次世代育成支援行動計画推進協議会などについてしっかりウォッチしていくといいのではというアドバイスを参加者の方々に伝えました。
最後に、コーディネーターの坂本理事からは、地域子育て支援が新システムの中で社会保障改革と一緒にどう位置づけられていくのかという重要テーマについては、今から実践者の私たちも行政とのパートナーシップなどに工夫しながら検討を重ねていく必要があるということ、また、その道筋をつけることが、日々の利用者支援の充実にもつながっていくということが確認されました。
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