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2018年度 
子育てひろば全国連絡協議会 公開セミナー
最新の拠点事業に関する調査をふまえて新たな役割を検討する

   2018年6月10日(日)第12回通常総会が終了し、2017年度の事業報告・決算報告、および2018年度の事業計画・予算が承認されましたことをご報告申し上げます。また、総会終了後に開催した公開セミナーには、全国から約150名の方々にご参加いただきましたことを心より感謝申し上げます。

◆日時 2018年6月10日(日)14:30〜16:30
◆開催場所 発明会館 地下2階ホール(東京都港区虎ノ門2-9-14)
◆対象 子育てひろばに関わる実践者・行政担当者・研究者など
◆参加費 無料
第1部 研究調査報告 (14:35〜14:55)
求められている質的向上に応えるために〜最新調査報告
坂本純子 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 副理事長
◆調査概要
 「平成29年度子ども・子育て支援推進調査研究事業」の「地域子育て支援拠点の質の向上と発展に資する実践と多機能化に関する調査研究」をもとに報告する。
 この調査は、2つの柱を設定して実施した。一つは、地域子育て支援拠点の取組について実態を定量調査し、実践事例の収集から質的向上を図る取り組みについて分析する調査、もう一つは、相談や預かり、訪問型支援など多機能を有する地域子育て支援拠点の取りくみが利用者にもたらす効果及び包括的な子育て支援事業の展開に果たす役割を把握し、拠点の質的向上と発展の方向性について考察する調査である。
 調査に際しては、ひろば全協の会員の皆様にも多大なるご協力をいただいたことを心から感謝申し上げたい。
◆調査の背景 
 拠点事業の現状と、拠点が担う役割の広がりがある。拠点事業は平成19年の創設以来、現在では7000か所を超え、ひろばに父親、祖父母世代も迎え入れるようになるなど、子育ての担い手も多様化している。また、子育て家庭が抱える課題も多様化しており、基本四事業とともに加算事業を行う意欲的な取り組みが増えてきたことも背景としてあげられる。
◆調査から見えてきたこと 
 一次調査では、全国の地域子育て支援拠点6446か所の中からランダムに抽出した1210か所を抽出し質問紙調査を実施、548の有効回答を得た。二次調査では具体的記述があった拠点から人口規模、1次調査で対象課題別の取り組み分布などを考慮した64拠点89事業に質問紙を送り、必要に応じてヒアリング調査を実施し、53拠点72事業の有効回答を得た。
 調査結果を見てみると、地域子育て支援拠点の基本四事業の質を向上には7割以上が取り組んでいた。対象・課題別の取り組み状況では、父親、妊娠中の方やその家族、発達の遅れや障がいのある子どもへの支援などが多く見られた。質の向上の一例として、利用者の課題や困りごとに寄り添うことで、様々な課題への取り組みが始まっていくことが分かった。また、拠点と同一施設で実施している事業として多かったのは、一時預かり事業、利用者支援事業である。
 また、興味深い分析として、基本四事業の中で、「子育て親子の交流の場の提供と交流の促進」、「子育てに関する相談援助の実施」を深めていけば、他の子育て及び子育て支援に関する講習等の実施、地域の子育て関連情報の提供についても積極的な実施につながっていくという方向性が見えてきたことがある。目の前の親子をしっかりと見て、課題や問題を見つけ、解決していくことが、他の質の高い取組にもつながっていくという「共起関係」が見いだされた。今回は、限られた報告時間ですべてのことをお伝えできないのが残念だが、本調査の報告書本体および概要版については、ひろば全協のホームページよりダウンロードが可能であり、具体的な調査結果や考察、実践事例などを見ていただけるのでぜひ、取り組みの参考にしていただきたい。
☆厚生労働省 子ども・子育て支援推進調査研究事業
「地域子育て支援拠点の質的向上と発展に資する実践と多機能化に関する調査研究」

   報告書概要版(PDF 44ページ 2018年3月発行)
   報告書本体(PDF 224ページ 2018年3月発行)
第2部 行政説明 (14:55〜15:20)
地域子育て支援拠点事業・利用者支援事業の概要と最新情報の提供
田村悟さん 厚生労働省子ども家庭局子育て支援課長
◆地域子育て支援拠点事業と利用者支援事業
 地域子育て支援拠点の実施か所数は、平成29年度末で7,259か所であり、28年度より200か所近く増加した。基本4事業に加えての更なる展開として「地域の子育て支援活動の展開を図るための取組」、「出張ひろば」「地域支援」といった加算対象となる取り組みについてもそれぞれ増えているが、引き続き加算を利用して多機能化の取り組みを進めていただきたい。
 利用者支援事業の実施か所数は、平成29年度末で1,897か所であり、28年度より約400か所増加している。特に母子保健型が大きく増加した。
◆調査研究
 地域子育て支援拠点事業に関する調査研究事業として、平成29年度は、「地域子育て支援拠点の質的向上と発展に資する実践と多機能化に関する調査研究」及び、「地域子育て支援拠点事業の経営状況等に関する調査」の2つを行った。
 平成30年度は「地域子育て支援拠点における寄り添い型支援の効果について」、「地域子育て支援拠点に従事する職員の資質向上研修に関する調査」、「地域子育て支援拠点の利用状況等に応じた職員配置と収支状況に関する調査」の3つを予定している。

◆最近の動き
 子ども・子育て支援新制度の「第2期事業計画期間に向けての準備」について動きがあり、内閣府より各市町村に向けて5月下旬にニーズ調査の準備に関する協力依頼を発出している。さらに、7月頃には量の見込みの算出のための手引きの発出が予定されている。また、地域子育て支援拠点従事職員に関する研修は、新規事業として、従来の新任職員やベテラン職員の研修対象に加え、中堅職員向けの研修事業も新たに予算を確保した。細かな内容はあらためて通知でお知らせしていく。
 尚、利用者支援事業における出張相談の支援(様々なニーズや困難な状況に対応するため、身近な場所に赴いて問題の早期発見や更なる防止に努める乳児相談・両親教室など)については、不定期的な実施も加算の対象にする。また、拠点事業における出張ひろばはこれまで原則年間を通じて同じ場所で実施としてきたが、人口が少ない過疎地での常設は難しい状況などを踏まえ、複数の場所において週1〜2回、1日5時間以上実施する場合も加算の対象とする予定である。。
 利用者支援事業と地域子育て支援事業を含めた地域子ども・子育て支援事業(13事業)については、引き続き平成30年度についても予算を確保しているので、目標数を目指すとともに、調査研究の結果を踏まえた運用改善も検討していきたい。
 
第3部  パネルディスカッション (15:20〜16:30)
拠点をめぐる最新調査報告!新たな「いっぽ」を踏み出すために
<パネリスト>
渡辺顕一郎先生 日本福祉大学 教授
新澤拓治さん 社会福祉法人雲柱社 施設長
田村 悟さん 厚生労働省子ども家庭局子育て支援課長
<コーディネーター>
奥山千鶴子  NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事長
 
奥山千鶴子  NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事長
 パネルディスカッションでは2か年にわたる地域子育て支援拠点の多機能化に関する調査を中心に、多機能的な取り組みの効果と課題の報告、また三菱UFJリサーチ&コンサルティングの経営実態調査報告、そして先駆的な取り組みの実例をいただき、みなさんと考えていきたい。
 
渡辺顕一郎先生 日本福祉大学 教授
 市町村が子育て家庭に対する包括的な支援体制をつくる上で、多機能化した拠点が軸になるのではないかという問題意識から調査を実施した。平成29年度の多機能化に関する調査研究では、子育て世代包括支援センターの中核として期待される利用者支援事業を実施していること、また拠点事業だけではなく他の支援事業を併設していること、そして土日どちらかひろばを開設していることの3条件で先駆的な取組みをしている全国15団体を抽出し、職員に対してヒアリング調査を実施した。さらにヒアリング対象拠点の利用者のアンケート調査も行い、622人から回答を得られた。その結果から下記4つの支援効果があることがわかった。
 @入口効果
親子が日頃から利用するひろばを「入口」として、他の子育て支援サービスの利用につながりやすいこと。これは拠点に併設しているサービスならではのメリットや強みである。
A出口効果
拠点が、利用者支援事業や一時預かり事業などの他の支援サービスから紹介されてつながる「出口」としての効果が得られている。
B見守り(モニタリング)効果
拠点の職員は日頃から親子の様子を継続的に見守ることができるので、支援効果を拠点で観察するモニタリングが可能である。
C支援の相乗効果
複数のサービスを併用している利用者が、拠点のみの利用者よりも相対的に高い支援効果が見出され、支援の相乗効果が確認された。

課題
@多機能的な取組における連携の必要性
 拠点の中で日々のカンファレンス等、事業種別を超えた職員同士の協力や連携体制が必要。
A他機関・施設等との連携の必要性
 心配な家庭や要支援家庭に対する包括的な支援では行政との綿密な連携が重要。
B多機能化に伴う業務の負荷への対応
 業務の増加に伴い人員不足が顕著であり、また職員の研修の機会の充実が求められている。

 居場所型支援(ひろば)を中核した包括的支援のイメージは、相談型支援、訪問型支援、預かり型支援と事業間の協力・連携が必須で、それらによってひろばは「入口出口の効果」が得られ、利用者への継続的な見守りが可能となる。地域によっては例えば利用者支援を真ん中に、または相談支援を核とするなど、いろいろ柔軟な考え方のモデルとして提案したい。そのひとつとして居場所型支援である地域子育て支援拠点における多機能化は、包括支援センターとしての可能性をもっている。 
新澤拓治さん  社会福法人雲柱社 施設長
 地域の子育て支援の強化・多機能化に先駆的に取り組んでいる東京都練馬区で、光が丘子ども家庭支援センターは子育て支援拠点事業の他、0〜18歳の子どもの家庭総合相談、利用者支援事業の基本型、乳幼児の一時保育などに取り組んでいる。
 利用者支援事業の中では子育て世代包括支援センターとしての位置付けもあり、保健センターとの協同で母子手帳の発行、母親学級でのサービス、妊婦への支援活動なども実施している。その結果、母子手帳に関しては97%という高い発行率である。
 子ども家庭支援センターは行政からのバックアップのあるオフィシャルな位置付けで、区との共同事業が始めやすい土壌が培われている。特に妊娠期からの支援を行うことは、拠点やひろばの利用増加につながり、子育て支援全体へのアプローチが可能となる。また要保護児童の家庭訪問、保育園への発達巡回支援活動などの多機能的な取り込みを行うことで「入口出口効果」を生み出している。
田村 悟さん 厚生労働省子ども家庭局子育て支援課長
 このたびの「地域子育て支援拠点事業の経営状況等に関する調査」は、利用親子組数別の経営状況の実態を明らかにすることを目的に三菱UFJリサーチ&コンサルティングが実施したものである。これまでに無い内容の調査であり、さらに悉皆調査で回収率も高かった。皆様のご協力に感謝申し上げたい。
調査報告書では
・利用親子組数が多く、職員が多い拠点は、非常勤職員率が高く平均年収が低い傾向がある。一方、利用親子組数が多いものの職員が少ない拠点もあり、これらの拠点は、十分な活動を行いにくかったり、職員の業務負荷も高い可能性もある。いずれにせよ、活動規模や活動量を公正に測る基準で交付方法を検討する必要がある。
・親の働き方の多様化により、土日開所のニーズが高まっているため、土日加算を設けたり、実施場所による支援策を検討する必要がある。
・人口規模によって1日当たりの利用親子組数に差があるため、地域特性を踏まえた拠点のあり方の検討が必要である。
・運営主体別年収額では特にNPO法人や生協、任意団体の職員年収が低いので、拠点での経験が処遇の向上に結び付くような研修・支援・仕組みの構築が求められる。
などの提案があった。
平成29年度子ども・子育て支援推進調査研究事業
地域子育て支援拠点事業の経営状況等に関する調査

(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)PDF183ページ2018年3月発行)
<今後の課題>
◆新澤拓治さん
 拠点活動における支援の質がどうあるべきか、また職員の配置や人材育成が課題。また土日開催は常勤者の人件費が必要であり、そのために行政とのコミュニケーションを積極的に行うようにしている。
◆田村悟さん
 職員の配置や土日加算などには財源の確保が必要だが、今回の調査研究でその必要性の根拠と課題を見つけることができた。自治体は、予算が厳しい中で優先事業を検討するので、実践団体には、実態だけでなく、実践の考え方などについても理論武装して、それぞれの事業の有効性を継続的に自治体に働きかけてほしい。そのために子育て支援関する実態調査を今年度も継続し根拠となるデータを示し、いろいろな子育て支援の実践方法などを把握したうえで必要な予算の確保に努めていきたい。
◆渡辺顕一郎さん
 子育て世代包括支援センターと同時に母子保健型の施策が増えており、連携を取りながら多機能的に事業を展開している拠点が包括支援センターの軸となり得る。そのためには多機能だけでなく、それぞれの事業間の「連携」についても加算をつけてほしい。また包括支援センターを含めて、要支援家庭のための支援と共に、あらゆる一般家庭の子育て全体について「寄り添う支援」の検討が必要である。
◆奥山
 今回の多機能化に関する調査研究でその支援の方向性を得ることができ、地域子育て支援拠点を中核とした包括支援のイメージができたのではないか。子育て家庭に「寄り添う支援」については今年度、調査研究を行い取り組んでいきたいテーマである。

 





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